急性期病院の医療ソーシャルワーカーとして働き始めると、仕事のほとんどが退院支援だということに気づきます。
退院援助のなかでも急性期病院の場合は転院調整が9割くらいです。
たまにふと思うときがあります。
「転院調整ってソーシャルワーカーじゃなきゃダメ?」
結局は転院調整も受け入れるか受け入れないかは、打診先の医師がの打診した側の医師の紹介状とか看護師のサマリーとか、血液検査データを見て判断します。
一応、僕たちも「〜な患者さんです」と書面には載っていない情報を口頭で伝えますが。
これだけだったら、転院調整を医療ソーシャルワーカーが行う理由がよくわかりません。
たまに医療ソーシャルワーカーを数年看護師として勤務された人が行っていることもあります。
だからこそ「転院調整は看護師同士でやった方が円滑なんじゃないか?」とか「医師間の方が必要な情報がダイレクトに届けられるんじゃないか?」って思ったこともありました。
ただ、色々考えるとやっぱり医療ソーシャルワーカーが行った方が良いかなって思うんですね。その理由をまとめてみました。
この記事では「診療報酬が〜」とかそういうのはなしで、肌感覚として感じることを書いていきます。
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医療ソーシャルワーカーが退院支援に関わる意味
ある程度事務的な部分が必要
医療ソーシャルワーカーが事務的に仕事をするということではありません。
転院調整をするにはある程度、事務的な要素が必要になってきます。
連携先との連絡が取りやすいことが求められるからです。
これが医師や病棟看護師だと、「手術中で」とか「夜勤が続いていて」、「今日は受け持ちがいなくて」という事態が発生してなかなか転院調整が進まないのかなって想像します。患者さんの様子をこと細かに伝えられるのはメリットですけど。
医療ソーシャルワーカーは勤務形態が定まっていて、基本的に夜勤はありません(病院によってはあるかもしれませんが)。なので平日の8:30~17:30までなら繋がりますので、ある程度連携は取りやすい職種なのかもしれません。
それでいて、病院に転院するわけなので、転院先を選ぶときに今行っている治療とか家族構成も把握しておく必要があるので、ただ事務的に行なっておけば良いというわけじゃないんですね。
事務的な側面も持ちつつ、患者さんや家族も様子も理解している職種って考えた場合に医療ソーシャルワーカーに行き着くんじゃないかなって思います。
患者さんの家族の意思を尊重する必要がある
患者さんと家族の意思は時として医師や看護師の意見と対立するときがあります。
患者さんや家族としては早く家に帰りたいけど、医師や看護師としては家に返すには心配。
こういう構図です。
患者さん側の意見もわかります。
色々な思いがあります。
病院は確かに安心な場所です。急変が起きても医師や看護師がいる、病棟は広いし、車椅子も使えるから転倒するリスクも抑えられます。医師、看護師の意見も十分わかります。
そんなときに患者さん側で思いを代弁してあげられる職種が院内には必要なんだと思います。
圧倒的に強い権力を持っているのは病院側なんですから。
患者さんは医師から見捨てられたらどうしようとか、看護師さんに嫌われたらどうしようって本音を言えないことがあるんです。
だから、ふだん接している職種とは別の職種が患者さんと家族の本音を聞いて調整をする必要がある。
「実際のとこ、どうなんですか?」
患者さんにとって医療ソーシャルワーカーは普段関わる職種じゃないから嫌われたところであんまり入院生活で不利になることはないので、比較的意見をぶつけやすいんです。
だから、色々普段のうっぷんとかを強くあたられてしまうこともあるんですけどね泣
とまあ、医療ソーシャルワーカーには患者さんの本音を聞き出して調整をしていくという役割もあるんです。
まとめ
医療ソーシャルワーカーが退院支援に関わるのは、
- 事務的な要素も兼ね備えている職種だから
- 患者さんの本音を聞きやすい立場にいる職種だから
これらの理由があるんじゃないかなって肌感覚として思います。
今日はここまで。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。