先日、『幸福優位の7つの法則』という本を読んだ。
本書の内容を簡単に要約すると、「成功するから幸せになるのではなく、幸せな状態だから成功する。幸せになるためには何事もポジティブな面を見つめることが重要だ」というもの。
まさに本書の内容を実行に移し、成功したプロ野球選手のエピソードが書かれた本に出会った。
忘れたくない内容だったので、書き残しておこうと思う。
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入団直後から扱いが全く違う2人のピッチャー
以下は藤尾秀昭著『小さな経営論』からの引用である。
昔、プロ野球に西鉄ライオンズという球団があったんです。そこに稲尾和久という大投手がいました。
稲尾さんと同期で2人のピッチャーが入ったそうです。
ところが、その2人と自分の扱い方がぜんぜん違うわけです。
彼らはピッチング練習をしているんだけれど、自分はバッティングピッチャーしかやらせてもらえない。おかしいなぁと思って、稲尾さんはタイミングを見計らって2人に聞くんですよ。
「僕は3万5000円の給料と契約金50万円で入ってきたんだけど、君たちはいくらもらった?」
そうしたら2人は契約金がそれぞれ500万円と800万円、月給も10万と15万だったそうです。
球団の機体の度合いが全然違うわけです。
だから彼らはピッチング練習をしているのに、自分はバッティングピッチャーばかりやらされるのかと稲尾さんは知るんですね。
伸びる人は与えられた環境、条件をすべて生かしきる
普通ならみなさん、「なんだ、馬鹿にするな、俺はもう辞める」というところです。
でも、稲尾さんは言わないんです。どうすればいいかじーっと見ていて考えるんです。
私はよくいうんですが、伸びていった人というのは自分に与えられた環境、条件をすべて生かしきって成長していくんです。
わかりますか?
マイナスの条件もいっぱいあるんです。
そのマイナスの条件もすべて生かしきっていく人が成功するんです。
稲尾さんはまさにそうなんです。
普通の人ならふて腐れる状況のなかで技術を磨く
彼は毎日バッティングピッチャーをやる。
だんだん嫌になってくる状況の中で、ハッと気づくわけです。
バッターというのはストライクばかり投げると嫌がるなって。
そりゃそうです。毎回毎回打っていたらしんどいでしょう。
3球ストライクを投げて、1球外してやるとバッターが一番嬉しそうにしている。
ボール球がきたら1球休憩ができるからね。
そこに彼は目をつけるんです。
このボール球にする1球だけは俺のものだ。
この1球だけは別に相手を気遣わなくても良い。
バッティングピッチャーだから3球はストライクを投げなきゃいけないけれど、残りの1球はボールでいい。
だから、その1球は俺のものだ。
稲尾さんは、この1球で自分の練習をしようと決心するんです。
高め、低め、インコース、アウトコースとボール球を投げ分ける練習をしようと。
その結果、彼は名コントローラーといわれるピッチャーになるんです。
すごいと思いませんか。
普通の人ならふて腐れる状況の中で、1球のボールで練習しよう、と。
その1球だけは他の奴がピッチング練習するのと同じだと考えて、高め、低め、アウトコース、インコースと投げ分けてピッチングの練習をしたんです。
1時間で480球投げたら、そのうちの120球は自分のもんだと考えて練習を重ねて、名コントローラーと言われるピッチャーになっていくんです。
そうやって自分の与えられた環境の中で一心不乱に仕事をしていったから、稲尾さんの人格が磨かれて、運命を招来していったんです。