久しぶりに泣けました。
結婚生活って良いものだな、いくつになっても好きな人がいるのは良いものだなと思える作品でした。
深川栄洋監督の『60歳のラブレター』という映画です。今から約13年前のもの。
60歳のラブレターを見ての感想
夫婦のことは夫婦にしかわからない。
数十年と一緒に連れ添って入れば、時に「鬱陶しく感じる存在」になることもあるのかもしれません。
一度鬱陶しく感じてしまうと、相手の負の側面しか見えなくなります。ですが、本当は「ありがとう」を伝えるべき場面がたくさんあるはず。
一緒に良すぎるとわかりませんが、離れたとき、ふとした瞬間に感じるものなのかもしれません。断水したときにしか意識しない水のありがたさのように。
夫婦健康でいられるときからたくさんありがとうを伝えたいなと思いました。
60歳のラブレターのあらすじ
中村雅俊さん演じる橘孝平と原田美枝子さん演じる(橘ちひろ)夫婦の物語。
根っからの企業人で仕事人間だった橘孝平は若き頃、実力を認められ、ある中小企業に入社しました。その会社の社長の一人娘だったちひろさんと勧められるがままに結婚。
当時の橘公平はちひろさんのことが好きではありませんでしたし、そのことをちひろも知っていた。
やり手の仕事人間だった橘公平は外で愛人を作り、真っ直ぐ家に帰らないことも多々あったようで、橘公平が60歳の定年を迎えたときに離婚。
これまで専業主婦だったちひろは「何もすることがないから」と戸田恵子さん演じる翻訳家兼ライターの長谷部恵子宅で家政婦?として仕事を始めます。
あるとき、長谷部恵子のライター仲間で石黒賢演じる麻生圭一郎(ベストセラー作家)のパーティーに参加します。
そこでちひろは麻生圭一郎と出会い、食事デートに行く仲に。新たな恋の予感?と思いましたが、ちひろはこれまで橘公平にずっと尽くしてきました。ふとした瞬間にこれまでの生活がよぎります。
橘公平はというと、定年退職後、新たにベンチャー企業へ入社。これまでの会社の社風とは全く違う環境に戸惑い、居場所のなさに虚無感を覚える日々。ちひろさんに支えられていたことを実感し始めます。
映画の終盤、橘夫婦の娘で星野真里さん演じる橘マキさんの出産を機に、橘夫婦がまた繋がり始めます。
2人が繋がったとき、さまざまな経験を経て、人間性が高まっているのがとても良かった。
60歳のラブレターから結婚生活で大切なことを学べる
ちひろは麻生圭一郎との出会いで、「あなたは可哀想だ。だってこれまで恋をしてこなかったのだから。恋とはぶつかることだ」と言われてハッとします。
ずっと橘公平に言うこと為すことを何でもかんでも受け入れていたと。ときに思いをぶつけることに大切さ、わがままを言うことの大切さを学びます。
橘公平はベンチャー企業での経験、離婚後の1人暮らしから料理の大変さやこれまでいかにちひろに支えられていたのかを実感します。
既に感動していたのですが、さらに感動ポイントが30年越しの手紙。
新婚旅行で四国に行っていたのですが、その際にある写真館で記念写真をとってもらっていました。その写真館では当時30年後に夫婦にラブレターを送るというキャンペーンを行っており、公平は「くだらん」参加しませんでしたが、ちひろは60歳になった公平宛に手紙を書いていたのでした。
離婚後に当時ちひろが公平に書いた手紙が届くのですが、それが泣ける。夫婦が再び、夫婦となる瞬間でもありました。
まさに昭和の夫婦って感じでしたが、20代の若造に夫婦って良いなと思わせてくれる作品でした。
・喧嘩しても良い。ちゃんとぶつかること
・言葉にして感謝を伝えること
の大切さを学べる作品です。