子育ては「意思決定力」「共感力」「自己肯定感」の3つが育めれば大成功。

初めての子育て。親として何を意識して子どもと接すれば良いのか。そんな疑問が解消される本に出会った。

慶應義塾大学病院で小児科医として勤務される高橋孝雄先生著『小児科医のぼくがつたえたい 最高の子育て』。

高橋孝雄先生が小児科医として勤務されるなかでたどり着いた「子育ての結論」がギュッと詰まった一冊だ。僕なりに心に残ったポイントを書き記しておく。

子育てで一番大切なことは勉強や運動ができることではない

何よりも大切なのは以下の3つ。

  • 共感力(他者をいたわることができる)
  • 自己肯定感(自分を好きでいること)
  • 意思決定力(自分で決めること)

3つの力が子どもを豊かな人生に導いてくれる。これが本書で一貫して繰り返し主張されていることである。

言葉掛けで育つ「共感力」

共感力は誰かの気持ちに寄り添い、自分のことのように歓んだり悲しんだりできること。子どもに共感力を持って欲しいと思うなら、まずは大人が子どもに心から共感できることが必要なんだとか。

例えば、転んでしまった子どもに対して「痛くないよ、がまんできるよ!」とつい、言ってしまいがちですが、それでは共感力は育たないらしい。

「痛いよね、びっくりしたよね、だいじょうぶ?」

その状況を代弁しつつ、共感の相槌をうち、さらに心配しているよと伝える。

このように上手な言葉掛けをすることで子どもの共感力は少しずつ育っていく。

2歳から始まる「意思決定」

意思決定を自分でできることが幸せな人生を歩む秘訣。意思決定の始まりは2歳から。「どんなことでも尊重してあげましょう」と高橋孝雄先生は述べている。

「みんながやるから、うちの子にも英語を習わせなきゃ」は逆効果。意思決定力を伸ばしてあげたいなら、「あなたはどちらがいいと思う?」「自分で決めていいよ」と声をかけて、”自分で決める”という作業の楽しさを実感できるような環境を用意してあげることが重要なんだそう。

誰しもが持って生まれた「自己肯定感」

子どもは皆、自己肯定感を持って生まれてくる。それを大人が壊さない。

他人と比べない、こまめに褒める。それが自己肯定感を伸ばす基本。

親の育児不安やストレスが自己肯定感を下げる原因になることもある。馬鹿にしたり、無視したり、怒りをぶつけるように怒ったり。そのような接し方をしていると自己肯定感が少しずつ下がっていく。

「生まれてきてよかった」と子どもに思ってもらうことが最終目標

高橋先生曰く、セルフエスティーム(自己肯定感)を翻訳すると子ども自身が「生まれてきてよかった」と感じることだという。それさえ達成されれば、子育ては成功したと思って良いそう。

挫折感なんて、味わせる必要ない

生後3〜4ヶ月からニコーッとした笑顔を見せる赤ちゃんは元々自己肯定感の塊。人と比べてけなされたり、怒鳴られたりするなかで少しずつ失ってしまうもの。

高橋孝雄先生はスポーツだって勉強だって、ピアノや習字、絵画だって、とことん追い詰めたり、強要しないことが大事とのこと。子どものうちにわざわざ挫折感を味わせる必要はない。

挫折感より「ささやかな成功体験」を

ささやかな成功体験をたくさん積ませて「すごいね」「よくできたね」とほめる。ほめるときは思いっきり。子どものころに成功体験を積んだ人間は強い。「やればできる」「自分ことが大好き」ということは子どもにとって大きなチカラになる。

例として子どもが料理を手伝うと提案してきたシーンが挙げられています。失敗するかもしれない、ちいさなゲガをするかもしれない、食材がダメになるかもしれない。それでも手伝ってもらい、上手にでいたら手をたたいてほめてあげる。

失敗しても「トライしたことがえらい」とほめる。

ほめる、ほめる、ほめる。一見ほめるところがないように思えても、見つけ出してほめる。これが自己肯定感を伸ばす基本的な心構え。

自己肯定感はガラス細工ではない

だからと言って、びくびく育てる必要はないという。子どもたちの自己肯定感を育んでいく最大の力は、おかあさん自身の自己肯定感

「この子がいてよかった、この子を産んだのはわたし」という気持ちはおかあさんの自己肯定感を大きく膨らませている。そういった気持ちで子育てができれば、子どもにも良い影響が出てくる。

苦手なことを無理にやらせても、劣等感を味わせるだけ

運動が苦手。実は遺伝的な要素が大きいんだとか。

結局、身につかないことが多い。子どもの方から「足が速くなりたいからスポーツ教室に入りたい」と提案があったときにはやらせてあげても良い。

親が「運動会で恥をかかせたくない」と先回りし、苦手な運動系の習い事を押し付けるのはなく、体を動かす楽しみを感じられる子どもにとっての”何か”を一緒に見つけてあげる。

趣味にも遺伝の影響がある

趣味の領域となると、育てられた環境で決まるように思えるが、アウトドア志向、インドア志向といった”嗜好”にも遺伝のチカラがかなり作用している。

運動が苦手な子どもをスポーツ万能に導くことはできないし、徹底的にインドア派の子どもに自然の中で遊ぶことを強要しても意味はない。苦手なことも個性のうち。

大事なことは得意なことを一緒に見つけること、見つけようとする姿勢で子育てすること。極上の遺伝子はないし、劣悪な遺伝子もない。

早期教育はほとんど意味がない

全く意味がないわけではないが、人よりちょっと早くできるようになるだけ

「あとで後悔したくない症候群」

子どもの能力や才能、そして性格までもが、環境要因よりも、むしろ遺伝子の力で大きく左右される。みんなよりも早くできるようになっても、それ以上でもそれ以下でもない。これは運動も勉強も同じこと。

机上の知識よりもリアルな体験が大切

先取りの早期教育に時間をかけるぐらいなら、子どもには机上では味わえない体験をたくさんしてもらいたいなと。スマホ一つで世界中のあらゆる体験ができる時代だからこそ、リアルな体験、実体験が大切になる。

学校の成績が良いか悪いかは「おしっこが濃いか薄いか」くらいの差とのこと。

本当に大事なことは、子どもが何を考え、なにを夢見て、なんのために勉強しているのか。

教育に余計なお金はかけない

日本の義務教育の質は高い。余計なお金はいらない。お金をかけずに学力をあげる上で重要なのはやはり、「とにかくほめること」。

高橋孝雄先生も長女さん、次女さん、長男さんの3人のお子さんがいらっしゃり、みなさん保育園から公立小学校、公立中学校と進まれているそう。小学校に上がるまでひらがなもかけなかった。今では立派にそれぞれの道を歩まれているんだとか。

あと、よく言われていることだが、「勉強しろ」と言えばいうほど逆効果。これは事実だそう。

本書を読んだ感想

高橋孝雄先生の小児科医としての知見が優しい言葉で綴られており、「こうやって子育てしていけば良いんだ」という指針を自分の中に持つことができる。

驚いたのが、高橋孝雄先生の説得力。

慶應義塾大学病院の医師になるくらいの方だから元々経済的にも恵まれたご家庭なんだろうと想像していたが、本書で「母子家庭、生活保護世帯で育った」と記載されていた。家族旅行など高校に上がるまでされてこなかったそう。

そういった環境を経験された方が記載された本だからこそ、説得力に重みがある。

読んでいて一番感じたのは、育てる側の心の余裕が大切だということ。誰しもが「この子をしあわせにしてあげよう」と思い、出産、子育てを行っているはず。だけど、睡眠不足や体力が削られ、イライラし、怒りをぶつけてしまう。

いかに子どもを育てる側の心に余裕があるか。余裕をいかに作り出すか。これが大事なんだろうなと感じた。「忙しい」とは「心」を「亡くす」と書くが、大人があまりにも忙しくしていると、子どもにも影響が出てしまうのかもしれないな。

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